仏の顔も3℃まで

はてなダイアリー終了に伴いお引越し。思い出は残しておこう…。


狭く浅くしなやかに。惰性の赴くまま更新。用量・用法を守って正しく服用を。
現在、鋼のシスコン番長と全国の貞夫さんと西住殿マジ軍神を応援しつつ、サイト休止中…。
説得力皆無ですが画像の無断転載はご勘弁下さい。  
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…という挨拶すら懐かしいな…みなさん元気に趣味に邁進されてますか?


↑web拍手です。ここで会ったのも何かのご縁。うっかり読んじゃった記念に押して下さいませ。

感想や考察は自己満足でしかないのか

共感を覚えてくれる方がいればそれでいいさ…(挨拶
さて、最終シナリオも含めて「夜明け前より瑠璃色な」の感想やら考察やらをまとめてみようかと。
衝動買いでの出会いだったのですが…いや、地雷の多い昨今、よいゲームでございました!
設定の無茶さ加減をキャラクター達の純粋な人柄がフォローしているため、すんなり世界観に馴染んでいく事ができました。
まあ主人公の達哉だけは最後までこちらに訴えるものが乏しかったのですが。それは後述。
カップルになった、もしくは告白した後の展開や心情の描写が…グッと来ますなぁ。
以前も書きましたが、殺伐としたゲームやノベルに対し疲れを感じていたので、こういった「原点回帰」と言えるほどの綺麗な話、優等生ゲームが逆に新鮮でした。
まあ個人的には「いもうと」の素晴らしさをDNAレベルで叩き込む最強の義妹「麻衣」との出会いを与えてくれたゲームとして後世に語り継ぐ所存でありますヨ!!(*゚∀゚)=3ハァハァ
あとサブキャラクターに光を当てるべく(むしろオレの欲求を満たすべく)ぜひカレンシナリオや翠シナリオを収録したファンディスクの発売を!お願いオーガスト


…さて、ここらで少々考察を。
以前「夜明けな」はフィーナと達哉の物語だ、と書きました。
…この認識が誤りだったと考えます。正しくは「フィーナの物語」これだけです。
残念ながら、主人公朝霧達哉は、彼個人では主人公たりえません。
フィーナとの出会いは偶然。父親が月に赴き、フィーナと出会っていたのも偶然。ホームステイ先としてフィーナを迎えて、再開を果たすのも偶然。
達哉個人が何かをしてフィーナと結ばれるのではなく、彼は「自身のあり方」を変えなかったが故にフィーナの信頼を得るのです。その「自身のあり方」を曲げないために周囲の人間が心を砕いて達哉をフォローします。剣術の稽古ですら能動的なアクションではなく、「変わらないため」の抵抗と見えます。もちろんカレンのお膳立てありきです。
「かつぎあげられている」ようにしか見えない主人公は、はたして主人公と言えるのか?フィーナにふさわしい人間とは何なのか?
残念ながら達哉には、フィーナの隣に立つには経験も地位も能力も足りません。オマケに持ち合わせた信念は周囲の人間と環境に用意してもらったものです。「環境が人を作る」といえばそれまでですが、その過程を描く作業が本作品は圧倒的に足りていません。フィーナが一方的に惚れて苦労しているようにしか見えないのです。
では達哉の存在にかろうじて説得力を持たせたのは何か?というと、これが皮肉な事にヒロインであるフィーナの設定を肉付けする事。そしてフィーナの人格を形成し、説明してくれたのは、更に皮肉な事に他のヒロインのルートなのです。
フィーナ編のラストで、カレンは「国家と家族」について比較し、問いかけます。これに対しての回答の一つを、フィーナは麻衣やさやかといった家族をテーマとしたルートの中で見せているのです。母親に執着するフィーナが家族に対して(言い換えるなら、朝霧家という集団の最小単位に対して)肯定的なスタンスをとる姿。これは最終ルートにおける達哉との家族の話、国王を前にした演説に結果として現れてきます。
また、ミアルートは…ミアには申し訳ないのですが、フィーナの指導者としての成長を促すルート、といえます。国と友人への敬意を貫く信念を秤にかけ、フィーナの母親の意思、信念を強く印象付けます。
菜月シナリオは…まぁ仲直りのきっかけが…いやあまり関係ないかorz
気を取り直して。
他のルートで「家族と友人」こそが交流のスタートである、という確固たる信念を得たフィーナだからこそ、最終シナリオでの演説が光るものになるのでしょう。
達哉はその点でフィーナと同じく、家族の延長線上に国家があることを理解し、(環境ゆえに)揺るぎない家族観を持ち合わせているからこそ、フィーナを一国の姫ではなく、恋人として、同時に家族として扱うことができ、行動の道しるべとなる唯一の男に昇華されたわけです。フィーナにとって達哉は「最小単位のものさし」ともいえる存在です。
ヒロインの設定をストーリーの展開にあわせて肉付けしていったら…アラ不思議、主人公がストライクゾーンに入っていたよ。穿った見方をすれば…ただ、それだけの事です。
エンディングでの八年後…かなりの年月です。ある意味、指導者として理想的な存在である達哉がどう成長していくのでしょう。まさか延々とフィーナとカレンたちのフォロー付き?
…さてはて。